ISBN
978-4-8443-7011-6
黒田徹 著
234頁
4,200円(税込)
実験で学ぶ 最新トランジスタ・アンプ設計法

はじめに、著者は以下のように述べている。
オーディオ・アンプを自作するマニアはマイナーな存在になってきた。しかし、オーディオ人口1000万人のオーディオ時代を築くことができたのは、かつて真空管全盛の時代に先進的な技術を持った一群の自作アマチュアがいたからだと。
アマチュアと零細企業のメーカーには、健全な技術の交流があった。しかし、時代を経るにつれ、メーカーが技術をどんどん進化させ、そこにはアマチュアが立ち入れない世界が構築されてしまった。これが皮肉にもアンプが売れない状況を生んでしまった。 なぜか?それはメーカーが技術を誇示しても、潜在購買者であるマニアたちがその技術を理解できなくなってしまったから。
メーカーが売れる魅力的な製品をつくるためには、双方の交流が必要であり、そのためにはアマチュアも技術力を高める必要があるのだと著者は論じている。

こうしたスタンスから、本書は「まず作ってみる」ということを前提に、理論に凝り固まらず、「考えて、実験する」ことを説く。実験して理論を確かめながら、技術力を高めトランジスタ・アンプの設計力を養おうという講座である。電子回路の入門書という位置付けであり、架空の人物「ポール氏」と「ポーラ嬢」を登場させる。彼らの対話形式による、「仮説誌上実験」というユニークなスタイルで進む。
トランジスタの基本特性から増幅回路の基礎、そして古典アンプの研究から、フラットアンプの設計と製作を解説。途中に練習問題を織り交ぜ、読者の理解力を試す工夫も凝らしている。
専門学校や工業高校などの副教材として盛んに取り上げられたこともあった誉れ高き名著である。

[CONTENTS]

第1章 トランジスタの基本特性

1. エミッタ,ベース,コレクタ
2. NPN型TRとPNP型TR
3. 順方向バイアス,逆方向バイアス
4. 活性領域――4種の動作領域
5. 直流電流増幅率hFE
6. VBEを1mV増すと,Icは4%増加する
7. 厳密にはIE=IB+IC
8. VBE=0.6Vと仮定せよ
9. とりあえずIB=0と仮定する
10. 3段直結回路のICは?
11. 飽和(Saturation)とは
12. 最大定格

第2章 増幅回路の基礎

1. TRは電流制御素子?それとも電圧制御素子?
2. 電圧信号源と電流信号源
3. 最も簡単な等価回路
4. 熱抵抗θ1
5. 出力抵抗r0
6. ベースのひろがり抵抗rbb'
7. 接地と動作
8. バイパス・コンデンサなしのエミッタ接地回路
9. 2段増幅のいろいろ

 

第3章 古典アンプの研究

1. 古典的イコライザ・アンプ
2. SEPP OTL回路
3. コンプリメンタリ・エミッタ・ホロワ

第4章 差動増幅回路とオペアンプ

1. 重ね合わせの原理
2. 差動増幅回路の解析
3. オペアンプ

第5章 FET(Field Effect Transistor)入門

1. 接合型FETの特性
2. 基本定数の測定
3. FETのバイアス回路
4. FETの温度特性
5. ゲートの電流
6. FETの低周波等価回路
7. FET差動増幅回路
8. 3石DCアンプ
9. 差動2段DCアンプ

第6章 フラット・アンプ2種の設計と製作

1. 差動2段DCアンプの設計
2. 差動対称型アンプの設計